手が止まり、そして涙が溢れる

「寄り添う言葉」と「思いを共有できる番組」

 TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」。

この番組はリアルタイムで聞けなくてもほぼ毎回聴いている、私も大好きな番組です。

 4月20日放送のメッセージテーマが「もうあきらめたもの」でした。爆笑もののメッセージがこの日も多く紹介され、そろそろ終わりという時間になったころ、安住さんが読んだメッセージに草取りをしながら聴いていた私の手が止まり、涙がこぼれました。

 結婚して30年余という女性のメールでした。どんな内容だったかというと、その女性は結婚して、すぐお子さんが誕生し、子育てに邁進する日々。その子どもの就職にようやくホッとした矢先に深刻な病がわかったと。自分の感情などすべて後回しにする生活が始まったと。日本の女性の平均寿命にはかなり足りない人生になると。そして「そこはもう諦めました。」…というものでした。

 メッセージは続きます。

「時間ではなく、密度で勝負!…と負け惜しみを言いながら頑張るつもりです。」

「自分がいなくなった未来に家族が困らないようにと夫の家事スキルを上げるべく週末には一緒に料理をしています。」

「治療も大切ですがそれと並行して自分の生き方の整理も大切。」

「病で心が落ち込む時、凍った心では大切なことを見失ってしまいがちです。ラジオに助けていただいています。」

 この女性の生き方、考え方、そしてユーモア溢れる文章に驚きました。素晴らしい人だなと思いました。(とても素敵な文章だったのです。)聴いていて涙がこぼれてきました。

 またこのようなメッセージが寄せられる、また紹介するというこの番組の懐というか、ただ楽しいだけの番組ではない、人を大事にしているところ。すごいなと思いました。毎度のことながら胸を打たれます。

 そして安住さん。「自分の一番大事な話を番組に送ってくださったことをうれしく思います。」と述べ、また「番組と縁があったこと御礼申し上げたい。」と言っていました。「病気の向き合い方はその人の性格が一番出ると言われます。素晴らしい方なんだなと思います。」とも言っていました。その方への言葉の深さにも心が震えました。決して声高に頑張って!などと言わず、選び抜いた寄り添う言葉。

 もし自分がこの立場ならなんと言葉を発するかなと思いを巡らせつつ、視聴者(今回はリスナー)とお送りする側が信頼しあっている感じ、素敵だなと思いました。

 そして楽しいことも、大事なことも共有できる番組をまた作っていきたいと思いました。

私にとっての「SPARK ON WAVE」や「ハロー大分」や「ゆ〜わくワイド」がかつてそうだったから。

いっしょに笑い、いっしょに泣いて、いっしょに考える番組を私、やりたいんです。